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ひび割れの原因とリスクを理解し、最適な時期に補修をしましょう
こんにちは。外壁アドバイザーの麻生です。
「外壁にひびが入っているんですが、何か問題や原因があるのでしょうか?」
「訪問してきた業者から補修を勧められていますが、必要があるのか教えてください。」
毎年、多くの方々からこのようなご質問をいただくことがあります。
外壁は年月が経てば必ず劣化が見られ、ひび割れの現象が起きてしまいます。
劣化の他にも、さまざまな要因からひび割れが起きてしまうケースがあるため、ひび割れの原因を知り、対策をできる部分は行った上で、必要な場合には補修を行うことが大切です。
この記事では、ひび割れの原因とリスクを理解した上で、最適な時期に補修をしていただけるように解説を行なっていきたいと思います。
ひび割れが起きる主な3つの原因
外壁のひび割れや亀裂は通称クラックと呼ばれます。
クラックが起きてしまうことは極めて自然なことであり、原因は明確であります。
こちらでは、クラックの主な3つの原因についてお話をしていきます。
クラックの原因は経年劣化だけでなく、施工業者のミスによってクラックの発生が早まったり、自然災害からクラックが発生してしまうことがあります。
ひび割れの発生に慌てないためにもまずは原因を知り、対策や補修を検討していきましょう。
外壁の経年劣化
そもそも、お家は消耗品であります。
外壁は日常品とは違い、普段のメンテナンスがしづらいため時間とともに劣化が出てくるものです。
塗料の種類によっても劣化進捗は変わりますが、およそ10〜15年程度でクラックなどの劣化がみられ、塗装などのメンテナンスが必要と言われております。
新築の場合は、塗料を安くして初期費用を抑える傾向があることから10年を経たないうちにクラックが発生してしまうこともあります。
また、外壁だけでなくサイディングボードのつなぎ目となるシーリングの経年劣化によってクラックが発生してしまうケースも多く存在します。
つまり、ある程度の月日が経ってしまうとクラックが発生してしまうことは致し方ないと考えた方がい良いのです。
自然災害による棄損
クラックは経年劣化のほかに自然災害によって発生してしまうことがあります。
わかりやすい例では、大地震や台風などといった強い振動や雨によって外壁が棄損してしまうケースです。
また、雪が多いエリアでは雪の重さや外壁に水分が浸透してしまうことで劣化が早まってしまうことがあります。
稀なケースとして、家の周辺に線路があり新幹線や電車が通る振動によってひび割れが起きてしまうなども存在します。
外壁アドバイザー
麻生
施工業者の施工不良
経年劣化や自然災害によってクラックが発生することは自然であり、ある程度は仕方がないことです。
しかし、家を建てた業者のミスや施工不良によって早期のクラック発生が起きてしまうことがあります。
基本的には、新築で家を建てた後や外壁塗装を行なってから数年以内にひび割れが発生することはありません。
施工をしてから早期でのクラック発生は、施工業者に問題があったと考えるのが自然な流れです。
相性が良くない塗料の選択や塗り回数を怠っていたケースなどが一般的ではありますがその理由はさまざまです。
早期でのクラックが発生してしまった場合は、保証があるはずですのでまずは施工業者に問い合わせをしてみましょう。
放置は危険!ひび割れによって発生する4つのリスク
クラックを放置しておくと、建物の耐久性が低くなること以外にもさまざまなリスクが存在します。
補修費用が上がったり、身体にも悪影響が出てくる場合もあるのです。
ここからは、クラックによって発生するリスクについて詳しく解説を行っていきます。
①雨漏りの発生
一番わかりやすく症状が出るのが雨漏りです。
クラックが起きているところから徐々に水が広がってしまうからです。
雨漏りは屋根からしか起きないと思われている方がいらっしゃりますが、外壁からも雨漏りは発生します。
クラックの幅が小さいうちは大丈夫ですが、放置していくうちに幅が大きく広がってしまい雨漏りが発生してしまう可能性が高いため注意が必要です。
特に、降水量や台風が多い地域では軽度のクラックから雨漏りへと発展するケースが多いため十分な対策とアンテナを張っておく必要があるでしょう。
外壁アドバイザー
麻生
外壁からの雨漏りが発生しても焦ることはありません。
応急処理は誰でも1時間程度で完了することができるのです。
具体的にはブルーシートで覆いテープで固定をしたり、防水テープを貼ったりする方法です。
応急処置を一時的に行い、状況を見ながら地元の業者へ相談することをおすすめします!
②建物の耐久性が下がる
クラックを放置していると建物の劣化が進行し、外壁の下地部分(木部)が腐食してしまいます。
雨漏りなどで構造体にまで水が浸透してしまうと、最悪の場合、外壁材を取り替える工事が必要となってしまいます。
そうなると、外壁だけでなく建物全体の莫大な補修工事がかかってしまう可能性が出てきてしまいます。
クラックの軽視は、建物の耐久性を低下させるリスクだけでなく、莫大な補修コストがかかるリスクがあることを覚えておきましょう。
③シロアリの発生
クラックにより水が侵入してしまうとシロアリ発生のリスクも出てきます。
シロアリとは、建物の木材を食害する生き物であり私たちが普段目にする蟻(アリ)とは少し違うため注意して見分ける必要があります。
また、シロアリは食欲が旺盛であり発生すると被害までのスピードが非常に早いため見つけたらすぐに駆除を業者へお願いしましょう。
ちなみに、シロアリの対策は市販の防除剤でも可能です。
しかし、築年数が経過している場合は対策が十分にできない可能性が高いため業者に依頼することを推奨いたします。
一般的には15〜30万程度が相場となっているため、まずは地元の優良業者へ相談をしてみて下さい。
④身体への悪影響も
クラックにより身体への影響が出るリスクも存在します。
水が侵入することで、建物の湿気は高まりカビが発生しやすくなります。
カビ菌は感染症やアレルギーなどを引き起こす可能性があるため身体に影響を及ぼしかねません。
クラックは、建物だけでなくご自身や家族の健康被害にも繋がることリスクもあることを念頭に置いておきましょう。
ここまで、クラックを放置すると起こりうるリスクについて解説をしてきました。
クラックが発生することで雨漏りなど水が建物に侵入しやすくなります。
それにより、建物の劣化による補修コストや身体への影響が出てくることをご理解いただけたと思います。
クラックが発生した際には、現状の外壁状況を正しく判断し、場合によってはすぐに補修を業者へ依頼することが大切なのです。
劣化状況を見極める!ひび割れの主な3種類を解説
そもそも、クラックは外壁に塗られていている塗料の塗膜が割れてしまう状態と外壁自体がひび割れてしまう状態の両方を指します。
また、その中でもクラックには主に3種類のケースが存在し、それぞれ劣化状況に差が生じます。
建物にひび割れが発生していても、まずは慌てることなく現状の建物の劣化状況を正しく判断することが大切なのです。
正しく判断をするための目安は、ひび割れの幅(大きさ)と深さになります。
素人には深さは判断がしずらいため、ひび割れの幅からクラックの種別と劣化状況を判断することになります。
ここからは、ひび割れの種類別の見分け方とそれぞれの劣化状況を詳しく解説していきたいと思います。
ヘアクラック
3種類の中で最も症状が軽いのがヘアクラックになります。
ある種、モルタルやコンクリート壁には宿命と言える症状でもあります。
ヘアクラックは幅0.3mm以下、深さ4mm以下の小さなひび割れを指します。
原因は、紫外線などの影響を受けることで素地が膨張収縮に耐えられず、塗膜が割れてしまうからです。
こちらは、クラックの初期症状であり補修の緊急性は低く慌てる必要はありません。
しかし、多くの場合は経年劣化が原因とされますが、施工してから数年以内に起きてしまった場合は業者の施工不良の可能性もあることは覚えておきましょう。
構造クラック
構造クラックは、建物の構造に被害を及ぼす可能性があるひび割れであります。
非常に劣化状態が悪く、補修をしなければ建物に大きな影響を与えてしまう状態です。
判断基準は、ひび割れの幅0.3mmを超える場合となります。
原因は、10〜15年周期に塗装やメンテナンスを行うことなく放置をすることで経年劣化により起きることが多いです。
また、地震や台風などの自然災害によってヘアクラックから劣化が進行してしまい構造クラックへと変化してしまう外部要因によるケースもあります。
そして、稀に早期の構造クラック発生の場合は、施工業者(工務店)の設計ミスなどもあり得ることも覚えておきましょう。
開口クラック
開口クラックは、構造クラック同様に劣化状態の悪さを示すものです。
窓枠や扉などの開口部周辺に発生し、開口端部から亀裂がくっきりと出てしまいます。
原因は、他のクラックと同様になります。
開口クラックはひび割れの場所から雨漏りが発生しやすくなってしまいます。
窓や扉付近から家の中に雨が侵入してしまった場合は開口クラックの可能性が高いため、建物の外を見てみましょう。
外壁アドバイザー
麻生
業者に劣化状況を判断してもらう以外にもクラックの状態を判断することはできます。
現在では、ホームセンターや通販サイトなどで簡単にクラック幅を測ることができる【クラックスケール】という商品が販売されております。
お値段も数百円のものもありますので、まずは劣化状態をご自身で把握されてから業者に相談をしても良いでしょう。
種類に解説!ひび割れの補修目安と方法について
前出にて、クラックには複数の種類が存在し、その種類によってはすぐに業者に依頼する補修や工事が必要のないものがあることをご理解いただけたと思います。
クラックはすぐに補修が必要な状態になる前から、悪化を防ぐ対策をする方が大切になってきます。
そのためには、初期症状をしっかりと見極めていく必要があるのです。
ここからはクラックの種類別にて、いつ頃補修が必要なのか?メンテナンス方法はどういったものなのか?を詳しく解説していきたいと思います。
ヘアクラックの場合
◆補修の目安
結論、ヘアクラックが発生してもすぐに業者に補修を行ってもらう必要はありません。
もちろん、劣化を早い段階で防ぐために業者へ依頼をして塗装をすることが一番良いですが、
ヘアクラックは劣化の初期症状のため、近い将来は塗装工事などは必要になってきますが緊急度の高い作業は行わなくても良いケースがほとんどです。
◆メンテナンス方法
・業者に依頼をして塗装を重ね塗りしてもらう
・業者に依頼してシーリング工事を行う
・DIYにてご自身で補修を行う(※追って解説をします)
ヘアクラックは補修の緊急性は高くありませんが、建物が劣化してきている重要なサインになります。
家を建てたハウスメーカーなどに一度点検(無料)をしてもらうとより安心だと思います。
構造クラック・開口クラックの場合
◆補修の目安
構造クラックや開口クラックを見つけたら、すぐに業者へ相談をして施工をすることを推奨します。
前出の通り、放置をしておく建物の雨漏り発生や構造を崩してしまうだけでなく、建物自体の見栄えも良くない状態であることは間違いありません。
最悪の場合、放置を続けることで莫大な工事費用がかかってしまうことや業者が手に負えない建物に関しては工事を引き受けてもらえない可能性さえも出てくるからです。
◆メンテナンス方法
・業者に依頼をして塗装・シーリング工事を行う
・DIYにて応急処置を行う
構造クラックや開口クラックに関しては、ご自身でのDIYは絶対にやめておきましょう。
現在はホームセンターなどに行けば補修剤は簡単に手に入れることができます。
しかし、両クラックの場合は劣化状態が非常に悪いため、素人が下手に施工を行うことで建物をより悪化させてしまうケースが多々あります。
そのため、構造クラックや開口クラックが発生した際は速やかに業者へ相談をしてみましょう。
知らないと損をする!工事を安く行う5つの方法
劣化してきていることが分かっていても、外壁の塗装や補修工事は高額な費用がかかってしまうため
「お金がかかるからまだいいかな?と後回しにしてしまっている。」
「できるだけ安く、助成金(補助金)なども活用して施工などはできますか?」
などといったお声を聞くことが多々あります。
最後に、できるだけ安く・クオリティの高い工事を実現するために、誰でもチャンスがある保険・補助金の活用や価格が安くてクオリティの高い業者選びなどについて解説していきたいと思います。
火災保険
火災保険は火事だけに適用されると思っている方も多いのではないでしょうか。
実は、火災保険は台風や地震などの自然災害にも適用されることを覚えておきましょう。
火災保険が適用される自然災害
- 雨や洪水
- 雪災
- 台風や竜巻
- 落雷
- 地震(別途、地震保険に加入している場合は適用)
火災保険が適用されないケース
- 外壁の経年劣化(チョーキングやカビ・サビなど)
- 自然災害による劣化現象とは判断がつきにくい
自然災害による劣化かどうかは自身では判断がつきません。
火災保険の申請を強みにしている専門的な業者への依頼をすることが大切です。
場合によっては、申請をやってもらえない業者もいるので火災保険を活用したいとお考えの方は業者選びの際に実績を聞いてみると良いですね。
外壁アドバイザー
麻生
「無料でお安く工事ができるようになります!」
「100万円程度の保険がおりますので工事しませんか?」
などといった、セールストークをする火災保険の代理店が急増しております。
明らかに劣化が少ない建物に対しての提案や高額は金額免除を言われた場合は注意が必要です。
第三者への依頼をする場合は実績などを踏まえて判断をすることをおすすめします。
助成金・補助金
最近では、コロナウィルスの影響もあり地方自治体でさまざまな助成金・補助金制度が導入されております。
2020年度も全国のあらゆる自治体で公募がありました。2021年度では前年以上の公募が出ている印象であります。
しかし、助成金を貰えるかどうかは下記の条件をクリアしている必要があります。
助成金がをもらうための5つの条件
- 建築基準法を遵守していること
- 遮熱塗料や断熱塗料など特定の塗料を使用すること
- 自治体が定めた業者に依頼すること
- 工事の着工前に申請すること
- きちんと納税していること
助成金は自治体や要件によって変わりますが、外壁工事の場合は最大で30万程度の補助を受けられる可能性があります。
また、地方自治体からの支援であることから、施工業者はその地方自治体にある業者でなければならないため業者選びには注意をしましょう。
メーカーや施工業者の保証
基本的には、外壁リフォームの施工や家を建てた際には、塗料のメーカーや施工業者の保証がはついています。
保証がついていない場合はむしろ悪徳業者へ依頼してしまったと考えてもいいでしょう。
しかし、実際に保証が使えるかどうかは別の話になります。
なぜなら、施工業者の保証は外壁のひび割れに対しては経年劣化と判断されて保証されないケースが高いからです。
もちろん、数年〜5年も満たない段階でのひび割れや劣化が見られる場合に関しては、施工不良と判断される可能性もあります。
保証書の内容をしっかりとご確認いただき、まずは保証の範囲なのかを業者へ確認することから始めましょう。
DIY
現在では、お近くのホームセンターやネットサイトからお手軽にスプレー式の補修材やシーリング材を手に入れることができます。
ヘアクラックなどの初期劣化に対する補修や応急処置としてDIYを行うことは良いと考えます。
しかし、構造クラックや開口クラックなどの0.3mm以上の割れ幅のものに関しては、下手に素人が触ることでその後に施工業者が工事をしづらくなってしまうケースがあります。
最悪の場合は、工事費用の増加や業者に施工を受けてもらえないことも。
そのため、DIYはあくまでも応急処置としての役割と考えておくことが良いです。
クラックが気になる場合は、専門業者に相談することが一番安心ですね。
地元の施工業者へ依頼
助成金が使用できる以外にも、地元の施工業者に依頼をすべきメリットがあります。
地元の施工業者へ依頼するメリット
- 下請けに頼まないためマージンが発生しない
- 交通費などの余分なコストがかからない
- 何か不具合が発生した際にすぐに補修をしてもらえる
大手ハウスメーカーや訪問業者などは人件費や下請けへの委託になってしまうため、施工費用が高くなってしまいます。
また、訪問業者に関しては高額な見積もり提示や施工不良など多くのトラブルが全国で多発しております。
そのため、価格とクオリティを高められる地元の施工業者を探すことを推奨致します。
ひび割れメンテナンスの適正相場とは?
外装リフォームの業界は各工事における相場がわかりづらいため、業者から適正価格の見積もりを受けているのか不安になりますよね。
最後に、ひび割れメンテナンスの適正相場をお伝え致します。
これから見積もりを取られる方もそうでない方も今後の資金計画の参考にしていただければと思います。
30坪の一戸建て住宅(延べ床面積100〜150㎡程度)の場合
外壁の塗装
80〜120万円 程度
外壁の張り替え
160〜200万円 程度
シーリングの打ち増し
20〜40万円 程度
シーリングの打ち替え
35〜50万円 程度
外壁リフォームの中でも、外壁のメンテナンスは費用が高額になりやすいものです。
しかし、大事な建物を守るための重要な作業となりますので将来を見据えて施工金額を準備しておくと良いでしょう。
また、高額なお買い物になるため後悔をしないような業者選びをしていきましょう。
ひび割れを発見しても焦らない!まずは優良業者へご相談
ひび割れを見つけてしまっても焦る必要はありません。
ひび割れが起こってしまうのは自然なことであり、軽度のものであれば応急処置をするだけでも十分です。
もちろん、放置をし続けてしまうと解説してきたようにリスクが大きくなってしまいます。
まずは、焦らずに親身になってくれる施工業者へご相談をしてみましょう。
記事の監修責任者麻生康博
これまで不動産業、パーソナルトレーナーとさまざまな形でお客様の「理想」を叶えるための営業職を経験。 現在は「外壁塗装の窓口」でマネージャー職に就き、年間30,000人以上のエンドユーザーのサポートを行いリフォーム工事業界での「理想」を提供している。
意外と知られていませんが、風害や落雷などによって外壁のひび割れが発生してしまった場合には
火災保険が適用できる可能性があります。
適用できる期間は災害から3年以内であるため、少し前の災害での棄損も対象となってきます。
工事金額を支援してくれる可能性があるため、加入している火災保険を一度確認してみましょう。