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屋根材「スレート」とは?3つの種類とメリット・デメリットを解説

スレート屋根はメンテナンスをしっかりとすることで長持ちする

こんにちは。外壁アドバイザーの後藤です。
「うちの屋根はスレートらしいけど、そもそもスレートって何?」
「スレート屋根はメンテナンスが必要と聞いたけど、何をすればいいの?」
この記事を読んでいる多くの方は、そのような疑問を持っていると思います。
実際、我々もお客様のリフォームのサポートをさせていただく中で、屋根のメンテナンスが必要なこと自体知らなかったという方も多くいらっしゃいます。

スレート屋根は劣化状況に応じてメンテナンスをすることで、長持ちさせることができる屋根材です。
逆にずっとそのままにしておくと浸水したり、雨漏りを引き起こす可能性があります。

この記事を読んで、まずはスレート屋根がどんなものかを理解し、適切なメンテナンスができるようにしましょう。

そもそもスレート屋根とは?

スレートは現在、日本の戸建住宅の約7割で使用されている一般的な屋根材です。
スレート以外の屋根材としては、瓦やトタン、アスファルトシングルなどがあげられます。

スレートと言っても大きく分けて2つの種類があります。
それが、「天然スレート」と「化粧スレート」です。

天然スレートは、粘板岩と呼ばれる岩石を使用して作られる屋根材で、ヨーロッパのお城などで使われています。
資源を入手するのが容易ではないため、価格が高いことから、一般の住宅ではほとんど使用されておりません。

一方の化粧スレートは、セメントや繊維材を混ぜて固めて作られたもので、現在「スレート」と言えば、この化粧スレートのことを指しています。

スレート屋根


こちらの記事は、「スレート」=「化粧スレート」と定義して解説をしていきます。

スレート屋根の種類

先程解説した化粧スレートの中にも種類がありますので、こちらではその種類について説明します。
基本的に原料は同じですが、加工の仕方によって厚さなどが異なり、それぞれ異なる特徴を持っています。
自分の家のスレートをイメージしながら、違いを比べてみてください。

平板スレート

平板スレート


フラットな薄い板のような形のスレートを「平板(へいばん)スレート」と呼びます。
「薄板スレート」や「薄型スレート」などと呼ばれたりもしますが、一般的には「スレート屋根」と言うと、この平板スレートの屋根のことを指します。

また、この平板スレートはケイミューが販売している「カラーベスト」というブランドの「コロニアル」という商品が有名なため、その名前から、平板スレートのことを「カラーベスト」や「コロニアル」と呼ぶこともあります。

厚型スレート(セメント瓦)

平板スレートよりも厚みがあり、瓦のような形状をした屋根を「厚型スレート」といいます。
素材はスレートと同じようなものを使用してますが、瓦のような形をしているため「セメント瓦」や「モニエル瓦」と一般的には呼ばれています。
1990年代に人気があった「セキスイUがわら」もこの厚型スレートの一種です。
ただ、現在では通常の瓦(陶器瓦)より耐久性が低く、平板スレートより高価なため、製造がされておらず、新たに入手することができない屋根材となっています。

外壁アドバイザー

後藤

1990年代当時販売されていたセキスイUがわらもそろそろ寿命を迎えているものが多く、また現在は販売されていない商品のため、最近では葺き替え工事をさせる方が非常に多くなっています。

波形スレート

波状の形をしたスレートを波形スレートと呼びます。
金額がリーズナブルで、耐久性が高いことから、工場や倉庫、学校の体育館などでよく使用されているスレートです。

今は使用されていない?!アスベスト入りのスレート

以前のスレートにはアスベスト(石綿)が含まれているのが一般的でした。
アスベストには粘り気がある成分が含まれており、スレートの耐久性を高める優れた素材でした。

しかし、1990年台からアスベストに対する健康被害、環境問題が取りだたされるようになり、徐々にアスベストを含まないスレート(ノンアスベスト)が発売されるようになりました。
その代表例が、「セキスイUがわら」や「パミール」といったものです。
ノンアスベストのセキスイUがわらやパミールの耐久性に欠陥があったこともあり、現在は販売されておりません。

そして、2006年にはアスベストの使用が全面的に禁止となったため、2006年以降に作られた全てのスレートにはアスベストが含まれていません。

現在ではアスベストを使用しなくても耐久性が高いスレートが開発されているため、多くの住宅でスレートが使用されています。

スレート屋根のメリット・デメリット

スレート屋根が人気な屋根材なのには理由があります。
こちらではスレート屋根のメリットやデメリットを説明していきながら、スレート屋根の特徴について解説していきます。

基本的にスレート屋根のデメリットの部分は、メンテナンスをしっかりとすることで解消される部分がほとんどです。
つまり、しっかりとメンテナンスをしていれば、優秀な屋根材ということです。
どのようなメンテナンスが必要になってくるかをイメージしながら、特徴を理解していきましょう。

メリット

スレート屋根のメリット

①施工がしやすいため品質が職人の腕によってぶれない

屋根は言うまでもなくお家の大事な部分です。屋根に施工不良があると、雨水が室内に侵入し、建物全体に影響を及ぼします。
スレート屋根は薄い板を貼っていくような作業のため施工がしやすいといわれています。
そのため、作業をする人の腕によって品質のブレが出にくいのが特徴です。

外壁アドバイザー

後藤

逆に瓦屋根などは経験のない職人が作業をすると、ズレが生じたりすることがあるため、品質が職人の技術によって左右されます。経験豊富な職人が施工をする必要があるのも、瓦屋根が比較的高い理由の一つとなっています。

②比較的安価

薄い板のようなスレートは製造コストが低く、瓦などと比べてもリーズナブルなのが特徴です。
多くの住宅で使用されていることもあり、大量生産されていることもコストが低く抑えられている理由です。

③メンテナンスがしやすい

瓦などと異なり、スレートは様々なメンテナンス方法があります。
一般的なのは、既存のスレートに上から塗料を塗って防水性能を維持させる「塗装」です。
また、平板スレートであれば軽量なため、そのまま上からもう一枚屋根材を被せる「カバー工法」というメンテナンスをすることも可能です。
ところが、例えば瓦などは重量があるため、メンテナンスの際は、一度屋根材を取り外してから、新しい屋根材を葺き替えする工事が必要になります。
このようにスレート屋根は様々なメンテナンスのやり方があるのが特徴です。

デメリット

スレート屋根のデメリット

①定期的なメンテナンスが必要

メリットとしてメンテナンスがしやすいということはお伝えしましたが、逆に定期的にメンテナンスをしないとスレートは長持ちしません。
スレートは元々水を吸いやすい素材でできていることから、その素材を守るために塗装がしてあります。
この塗装が劣化し、剥がれてくると本来の防水機能を果たせなくなるため、スレート自体が反ってきたり、割れたりしてしまいます。

②薄い板のため割れやすい

また、あくまで薄い板であるスレートは基本的には人が乗っても割れないくらいの強度はありますが、台風などの強い外的要因や経年劣化により割れることがあります。
瓦でも割れたりすることはあるものの、スレートの方が強度としては比較的弱いのが特徴です。

外壁アドバイザー

後藤

現在は技術革新が進みスレートも強度がかなり高いものが使われています。
ただ特に90代後半に販売されていたスレートはノンアスベストが使われ始めた時期で、耐久性が弱いものもあります。
その時期のスレート屋根は特に割れに注意をする必要があります。

③防水性が低いため、コケが生えやすい

上から塗装がしてあるスレートですが、本来は水を吸いやすいセメントや樹脂系の素材でできているため、湿気が溜まりやすい地域などではコケが生えやすいのが特徴です。
コケが生えると見栄えも悪くなってしまいますので、コケが生える前に塗装をするなどして、メンテナンスをしていくことが重要になります。

スレート屋根のメンテナンス

スレート屋根はメンテナンスが大事な屋根材ということは、ここまでで理解ができたかと思います。
こちらでは、具体的にどのようなメンテナンスをしていけばいいのかを説明していきます。
スレート屋根の耐用年数は一般的に20~30年程度といわれています。
とはいえ、しっかりとメンテナンスを定期的にすることで、30年以上持たせることも可能です。
実際は、「メンテナンスもできるだけお金をかけずに、少ない回数で済ませたい。」が多くの方にとっては本音かと思います。
こちらでは、適切なメンテナンス頻度と、メンテナンスが必要とされる劣化状況の見極め方も解説していきます。
屋根の現状をイメージしながら、自分の屋根がメンテナンスが必要かどうかもイメージして読んでいただければと思います。

スレート屋根のメンテナンス頻度

スレート屋根は10~15年目のタイミングで一度塗装をすることが一般的です。
というのも、スレート屋根は基本的に水を吸いやすいため、塗装が防水機能を果たしているということは、前も説明をさせていただきました。
日当たりや立地条件、塗ってある塗料によって劣化のスピードは異なりますが、基本的には10~15年目のタイミングで一度屋根のメンテナンスを検討する必要があります。

劣化状況の見極め方

劣化の進行具合によっては、塗装ではなく、カバー工法や葺き替えをした方がいいという場合もあります。
劣化がどのようなものかを知っていれば、自分で見てメンテナンスが必要かどうかはある程度判断をすることができます。
自分の家はまだ平気と思っていても、しっかりと見てみると劣化がかなり進行していたというケースも多々あります。

そして、メンテナンス費用は劣化の程度が少ない程、安く済む傾向があります。
劣化が激しいと塗装では修復できない場合があり、そうなると工事費用は高くなります。

劣化がまだ深刻でない段階でメンテナンスをしていきましょう。

カビ・コケのみであれば塗装で問題なし

コケが生えたスレート屋根

塗装で問題ないか、葺き替えやカバー工法をするべきかを判断する一つの基準として、スレートの板が反っているかどうかがあります。
もしスレート自体が反っておらず、カビやコケが見られる程度であれば、基本的には塗装をすることで、屋根材を長持ちさせることができます。
カビやコケは、塗装をする前に必ず高圧洗浄をすることで綺麗にすることができ、その上から塗装をすることで、再度屋根を新品のような状態に戻すことができます。

反りや浮きが見られる場合は、カバー工法か葺き替え

もしスレートが反っていたり、浮いてきている場合は、中に雨水が侵入している可能性があります。もし軽微な反りや浮きであれば、部分的に補修をしてから、塗装をすることも可能ですが、基本的には反りや浮きが見られる時点で、カバー工法や葺き替えを選択肢に入れた方がいいでしょう。
そのまま放っておくと、室内まで雨漏りし、シロアリ被害などの二次災害も考えられるので、早めでのメンテナンスをすることをおすすめします。

メンテナンスの費用相場

ここで気になるのは、「実際にメンテナンスって、いくらくらいかかるのか?」だと思います。
こちらでは、「塗装」「カバー工法」「葺き替え」のそれぞれの相場を説明していきます。
その上で、自分の家はどのタイミングでメンテナンスをすることが、一番ランニングコストが掛からずに済むのかをイメージしながら読んでいただければと思います。

塗装の場合

一般的な延床面積が30坪くらいのお家であれば、屋根塗装のみであれば、大体足場代込みで、相場は40~60万程度です。
屋根だけでなく外壁も同じタイミングで塗装をするとなると、大体100~140万くらいが相場となります。
屋根を塗装する場合は、足場が必要になるので、外壁も同じタイミングで塗った方が、足場代の分だけコストが掛からないので、ランニングコストが下がります。

外壁アドバイザー

後藤

この数字はあくまで相場ですので、もちろん塗料や依頼する業者によって金額は異なります。塗料によっては20年程度の耐用年数がある塗料もあるため、一概に安い塗料がベストな選択肢とはならないケースがあります。

カバー工法の場合

カバー工法は既存のスレートをそのまま残し、その上から、ガルバリウム鋼板と呼ばれる鉄板のようなものを被せる形で、屋根を葺く工事です。
葺き替えは一度既存の屋根を取り外してから新しい屋根を葺きなおす工事になるので、既存の屋根の処分などにコストがかかります。一方のカバー工法は処分のコストがかからないため、葺き替えと比べると安くなります。
重量のある瓦と違い、平板スレートであれば、このカバー工法ができるので、屋根を新しくする際にはおすすめの手法となります。

相場は一般的な延床面積が30坪くらいのお家で、100~160万くらいとなります。

葺き替えの場合

葺き替えは既存のスレートを処分する分、コストがかかります。
スレート屋根のお家で屋根を新しくする場合は、基本的にはカバー工法の方がおすすめです。
しかし、一部築年数の古いお家では、耐震強度が比較的弱く、上からさらに屋根を被せることで、耐震リスクが懸念される場合は、この葺き替えが推奨されます。

相場は一般的な延床面積が30坪くらいのお家で、180~220万くらいとなります。

【番外編】塗装できるけど、カバー工法をした方がいい場合もある

ここまで説明すると、塗装ができる間は、塗装でメンテナンスをして、屋根材自体が悪くなってきたら、カバー工法や葺き替えを検討すればいいと多くの方は考えると思います。
もちろん、それは基本的には正解です。
ただ、一部の方にとっては、それが当てはまらないケースもあります。

例えば、現在築30年のスレート屋根のお家にお住まいの方が、塗装を検討されています。
反りや浮きは見られないので、塗装でメンテナンスをしようと考えています。
この場合は、必ずしも塗装が最適ではない可能性があります。

もし仮にこの方が、あとこの家に30年住みたいとしましょう。
その場合、このタイミングで塗装をしてしまうと10年後、築40年くらいのタイミングでおそらくカバー工法や葺き替えを検討しなくてはならない状況になることが予想されます。(スレート屋根の耐用年数はメンテナンスをしたとしても40年くらいのため。)

この場合は、塗装が可能でもカバー工法を築30年のタイミングで検討された方が、結果的にランニングコストが安くなります。
このように、お家のメンテナンスは、それぞれのライフプランに合わせて考えていく必要があります。

スレート屋根を正しくメンテナンスして長持ちさせましょう

スレートがそもそもどんな屋根材で、どのような特徴があるのか解説してきました。
スレートはメンテナンス次第で、長持ちさせることができる優秀な屋根材です。
屋根は脆くなってしまうと、家全体に影響が出る大事な箇所です。
しっかりとメンテナンスをして、大事なお家を長持ちさせましょう。